Q&A よくある質問

Q&Aのご利用にあたって

Q&Aのご利用にあたって、以下リンク先ページをご一読ください。

  • はじめに
  • 症状について
  • 早期診断について
  • 日頃気を付けて
    おくべきこと
  • 検査法について
  • 薬物治療について
  • 放射線治療について
  • 手術について
  • 緩和医療について
  • その他の治療について
  • コメント
  • その他

Q&A

はじめに

Q

骨転移は命を脅かさないというのは本当ですか?

骨転移は命を脅かさないというのは本当ですか?

A

代表的な問題である骨折や麻痺そのものは直接的には生命には影響しない問題です。骨折は日常的に発生する代表的な怪我の一つですが、命に別条ないものが大多数です。また麻痺となっても活躍するパラリンピック選手を我々は知っています。ただ厳密に言えば、骨転移が原因で動けなくなり通院できなくなると、抗がん剤治療を行えないといった判断がありえますし、褥瘡や尿路感染から生命に危険が及ぶこともあり、間接的影響はありえるかもしれません。

Q

高カルシウム血症や骨髄癌症を取り上げないのはなぜですか?

高カルシウム血症や骨髄癌症を取り上げないのはなぜですか?

A

骨転移について詳しい知識を持たれた方は、重篤な高カルシウム血症や骨髄癌症があることをご存知かもしれません。知識が普及してきている証しとして喜ばしいことと思います。たしかにこれらは元来、生命に危険が及ぶ状態ですが、そもそも発生頻度が比較的まれである上、病気の勢いが強く、多くの場合他の転移もあり病院で管理されている状態の中で生じることが多いため、一般の方々が日頃気を付けておく知識にはなじみにくいと考えています。がんになっても自由に歩ける体を維持するという観点で情報普及を重点的に進めています。

Q

骨転移の起こりやすい部位はありますか

骨転移の起こりやすい部位はありますか

A

背骨、骨盤、上腕骨、大腿骨で9割を占めます。背骨の中では、胸椎とよばれる背中部分が約7割程度と最も多くなっています。頸椎と腰椎はほぼ同程度とされています。通常、膝から下や、肘から先には骨転移はほとんど生じません。例外的なのは肺がんで、膝から下や、肘から先にも骨転移を生じることがあります。

Q

がんの初発から最長何年位たって、骨転移が現れることがあるのでしょうか?

がんの初発から最長何年位たって、骨転移が現れることがあるのでしょうか?

A

乳がんや甲状腺がんなどでは、まれに10年を越えての骨転移が経験されています。

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Q&A

症状について

Q

抗がん剤の副作用で手足にしびれがあります。骨転移時のしびれと、どう見分けたら良いでしょうか?

抗がん剤の副作用で手足にしびれがあります。骨転移時のしびれと、どう見分けたら良いでしょうか?

A

ご自身で見分けられることをお勧めしません。必ず主治医に確認なさってください。一般的には、抗がん剤による末梢神経障害は、手足の末梢からはじまり悪化に伴って中枢側に広がっていくのが通常で、がん診療医は見慣れていますので、病院で確認してもらうのが一番です。
そして、そのしびれが骨転移によるものではないと判断してもらったら、次はその状態からさらに上乗せして悪化してくるしびれや痛みに注意を払うようにします。これもご自身で判断なさらず、主治医に伝えて判断を仰ぐ、この繰り返しです。
骨転移の予備知識は、自己判断できるスキルをつけてもらうことは目的ではありません。「この症状は、骨転移とは関係ないでしょうか?」そうしつこいくらいに質問する姿勢を持ってもらうことにあります。このような意識の高い方が増えることで、現場の医師の認識も高まっていくことにつながりますし、最終的には最大の問題である麻痺をなくしていくことにつながっていくものと考えています。

Q

がんになる前から腰痛持ちです。腰痛と骨転移の痛みは、どう見分ければ良いでしょうか?

がんになる前から腰痛持ちです。腰痛と骨転移の痛みは、どう見分ければ良いでしょうか?

A

まず、現時点で骨転移があるか否かを主治医に確認しましょう。腫瘍マーカーやこれまでの検査結果から骨転移が認められていないとすれば、現在の症状を基点にします。忘れてしまいそうなら、痛みの部位やしびれの部位をどこかに書きとめて置くとよいでしょう。痛みの程度は病院では、全くないを0、耐え難いを10としたとき、3くらいとか7-8くらいなどと数値で記録します。これならご自身でも管理が可能です。
基点から新たに悪化して生じてきた痛みやしびれについては、要注意です。とくに少し病状が進行気味の方や、とくに体への負担のかかるようなことをしていないのに悪化してきたのなら、予約を早めて再診して主治医に相談しましょう。くれぐれも自己判断は禁物です。見分けるのは主治医に相談して下さい。

Q

抗がん剤によるしびれや痛みの特徴

抗がん剤によるしびれや痛みの特徴

A

手袋型もしくは靴下型などといい、手足の末梢部分に両側対称性に出現するのが通常です。骨転移の生じやすい部位と明らかに痛みの出現する場所が異なります。
この部位の特徴や、薬剤の投与後で腫瘍マーカーが低下しているのに痛みが出てきたなどという場合には、専門医は薬剤による末梢神経障害による症状と判断できてしまいます。両側の症状がほぼ同時期に出現してくることも薬剤の副作用の場合の特徴です。

Q

痛みが出るまで何もできないのでしょうか。少しの痛みなら我慢してしまうので心配です。

痛みが出るまで何もできないのでしょうか。少しの痛みなら我慢してしまうので心配です。

A

無症候性といい、骨転移があっても症状がない方がほとんどです。この場合は、ゾメタやランマークといった骨転移の進行を遅らせる治療を行うことが広く行われています。このお薬が普及したことにより、多くの恩恵を受けています。これも立派な治療です。
日本人は痛みを我慢しがちです。とくに注意すべき痛みの特徴は「身を守るための情報」をご参照ください。痛みはご自身でしかキャッチできません。我慢は禁物と考えるようにして下さい。

Q

椎間板ヘルニアの持病があるが、痛みには違いがあるでしょうか。

椎間板ヘルニアの持病があるが、痛みには違いがあるでしょうか。

A

「身を守るための情報」の解説をご参照ください。以前からある痛みが椎間板ヘルニアによるものと診断を受けておられるのでしたら、これまでと異なる痛みに気をつけるようにしましょう。今までとは違う痛み方や場所が出てきたら、担当医に相談するようにします。

Q

内服抗がん剤とホルモン治療中なのですが、副作用による関節の痛み等との判別も出来るのでしょうか?

内服抗がん剤とホルモン治療中なのですが、副作用による関節の痛み等との判別も出来るのでしょうか?

A

多くの場合、痛みやしびれを生じるのは手袋型や靴下型などと呼ばれ、手足の末梢に両側とも、時期もほぼ同時期に出現するため、担当医ならすぐに判断できます。骨転移の起こりやすい部位と異なるので比較的見分けはつきやすいですが、あくまでも担当医に尋ねて確認する姿勢が基本です。

Q

痛みが出るまで何もできないのでしょうか。

痛みが出るまで何もできないのでしょうか。

A

無症候性といい、骨転移があっても症状がない方がほとんどです。この場合は、ゾメタやランマークといった骨転移の進行を遅らせる治療を行うことが広く行われています。このお薬が普及したことにより、多くの恩恵を受けています。これも立派な治療です。
日本人は痛みを我慢しがちです。とくに注意すべき痛みの特徴は、「身を守るための情報」の解説をご参照ください。痛みはご自身でしかキャッチできません。我慢は禁物と考えるようにして下さい。

Q

尾てい骨が痛むのですが、そんな所に骨転移とかありますか?

尾てい骨が痛むのですが、そんな所に骨転移とかありますか?

A

俗に「尾てい骨」と言われるのは、骨盤だと思いますが、骨盤は骨転移が生じやすい骨です。担当医に症状を伝えて下さい。
ちなみにお猿さんのしっぽの名残である尾骨という小さな骨がありますが、ここへの骨転移は稀です。人間にとっては尾骨は体重も支えないし、しっぽを振る機能も退化していますので、恐れる必要のない部位です。もし発見しても、よほど痛みが顕著になれば放射線治療をすることになるものの、痛みがなければ当面はゾメタもしくはランマークの治療が考慮されます。

Q

「痛み」とはどんな痛みなのかわからなくて不安です。

「痛み」とはどんな痛みなのかわからなくて不安です。

A

「身を守るための情報」の解説をご参照ください。
受診時に必ず、骨転移の関連性がないか担当医に確認してください。すでに痛みを抱えていらっしゃる方は相当数おられると思います。まずはその痛みが骨転移かどうかを、相談なさって下さい。否定されれば、その後に上乗せされてくる痛みに留意するようにします。今までより明らかに痛みが増した、頻度が増した、別の部位が痛くなった、などです。

Q

痛みの判別ですが、骨が痛むというのはどのような感じですか?骨の痛みの感覚を教えて頂きたくお願いいたします。

痛みの判別ですが、骨が痛むというのはどのような感じですか?骨の痛みの感覚を教えて頂きたくお願いいたします。

A

痛みは主観的なもののため、どのような痛みかを解説するのは適切ではありません。むしろ部位や、時間の経過などをお伝えするように留めています。多くの痛みの質問を頂いていますが、ご自身で判断するのはやはり避けて頂きたく、対処法は前述と同じです。

Q

少しずつ悪化してゆく痛みが注意すると理解してよろしいでしょうか。

少しずつ悪化してゆく痛みが注意すると理解してよろしいでしょうか。

A

徐々に悪化する経過は、骨転移を疑う重要な痛みの特徴となります。

Q

骨転移の痛みは、どういう痛みから始まりますか?(なんとなく肩こりが直らないとか、腰が痛い、マッサージなどでも良くならない)など。

骨転移の痛みは、どういう痛みから始まりますか?(なんとなく肩こりが直らないとか、腰が痛い、マッサージなどでも良くならない)など。

A

「身を守るための情報」の解説参照。
おっしゃるような症状もありえるでしょう。初期症状は不定で、診断価値の高い特定の症状がある訳ではありません。ただ、例えば腫瘍マーカーが安定して推移している、最近開始になったお薬が非常に良く効いている、などがんの勢いが安定しているときは、骨転移が新たにどんどん出現することはありませんので、症状のみならず病状全体の状況から骨転移ではないことがすぐに分かる場合が多々あります。骨転移ではありませんと診断を受けたら、必要以上に気に病むことのないようになさって下さい。むしろ以降の痛みの経過をご自身で観察を続けておくことが重要となります。

Q

痛みが出ないこともあるのでしょうか?

痛みが出ないこともあるのでしょうか?

A

症状のない骨転移が実は大多数です。病状が進行して、骨が少しずつ弱くなって、ある時点から痛みが生じてくるようになります。無症候性の状態で骨転移が見つかった場合は、ゾメタやランマークでの治療が標準です。

Q

がん骨転移から排泄が自分でできなくなることが起こりうるのはなぜですか。

がん骨転移から排泄が自分でできなくなることが起こりうるのはなぜですか。

A

脊椎への転移が原因で、麻痺が重篤になると膀胱直腸障害といい、神経の働きの一つである排泄のコントロールも失われるためです。排泄は最もプライバシーの高い人間の尊厳に関わる部分です。患者さんご本人とご家族の辛苦は筆舌しがたいものがあります。体験談冒頭の今井様の寄稿もご参照ください。

Q

骨転移が肋骨にありましたが、治療で消えました。病状が進んだら同じ場所に出てくるんでしょうか?

骨転移が肋骨にありましたが、治療で消えました。病状が進んだら同じ場所に出てくるんでしょうか?

A

再燃してきたら、元骨転移のあった場所は要注意箇所になります。

Q

発症から痛みが出るまで、大体どの位の期間でしょうか。

発症から痛みが出るまで、大体どの位の期間でしょうか。

A

全く人それぞれです。目安となる数値を挙げることは不可能です。

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Q&A

早期診断について

Q

骨転移を早期発見するにはどうしたらいいでしょうか?

骨転移を早期発見するにはどうしたらいいでしょうか?

A

骨転移の治療では早期発見、早期治療(例えば手術で取りきってしまう、すぐに放射線治療をするなど)の方針をとりません。すでに元のがん(原発がんと言います)が、血流にのって骨に到達している状態のため、その骨転移病巣を取りきったとしても残念ながら完治したことにはならないからです。つまり、体に大きな負担を強いて一つの病変を手術したとしても、次々と他の部位からも新たな病変の出現が十分想定されるので、必要以上の体への負担を避けるのが治療の大原則となります。それが骨転移病変と原発病変では根本的に治療方針が異なる点です。
治療においては、麻痺や骨折など重大な事態を惹き起こさないように管理することが目標となりますので、あまりに小さな病変を見つけることの意義は原発病変ほどはないのです。

Q

骨転移の症状が出ていない場合は、どのような検査で定期的にチェックするのが良いのでしょうか?

骨転移の症状が出ていない場合は、どのような検査で定期的にチェックするのが良いのでしょうか?

A

腫瘍マーカーが使える方は、腫瘍マーカーの定期検査が基本です。数値の変動があれば、再発や転移が生じていないか、種々の画像検査が実施されるのが通常です。腫瘍の種類によって適切な画像検査は異なります。一般には骨シンチ検査なのですが、内臓への転移や再発も同時に検査するときにはPET検査が有用なこともあります。またこれらの検査で偽陰性の現象(病変があるのに検査で見つからない)が生じるがんがあり、主治医ががんの特徴に応じて検査法を判断しています。
検査の方法やタイミングは、がんの種類、病気の活動性、麻痺や骨折の危険度、治療の効き具合などを総合的に医師が判断しており、比較的高度な医学的判断を含みます。
骨転移があっても腫瘍マーカーがきわめて安定していれば、6-12ヶ月に一度の検査でよいこともあれば、病状の進行が早く、麻痺リスクの高い胸椎に比較的大きな病変が確認されている方では、毎月通院してもらい、痛みの出現や腫瘍マーカーの変動を見ながら管理が必要な場合まであるでしょう。
検査の方法や間隔は、個別の状況判断によるところが大きく、ネット上での解説になじみにくい面があります。患者さんにおかれては、最も警戒すべき背骨や胴体周りに今までにない痛みを感じたら病院に行く、この姿勢が最も大切です。
がんナビ連載の第7回に関連情報がありますので参照下さい。

Q

骨転移が起こってから、早めに対処する為には、どのような検査を定期的に受ければ良いでしょうか?

骨転移が起こってから、早めに対処する為には、どのような検査を定期的に受ければ良いでしょうか?

A

点検の方法はがんの種類によって異なるため、がんナビ連載の第7, 11~15回を参照下さい。医師がどのように検査計画を立案するのかの概略をつかんでおくと、診察の時の説明が理解しやすくなると思います。ただ、どの検査をどのタイミングで実施するかも、やはりその時々の病状に応じた比較的高度な医学的判断を含んでいます。
患者さんが自己管理するのは、これまでにない痛みが生じたときに、「骨転移では?」と気付くこと、「我慢できるから大丈夫」と自己判断しないこと、主治医に痛みをきちんと伝え、「骨転移は大丈夫でしょうか?」と尋ねること、これが骨折や麻痺に至らない最も大切な点です。

Q

骨密度検査でも、骨転移は予測的に分かるのでしょうか?

骨密度検査でも、骨転移は予測的に分かるのでしょうか?

A

残念ながら、骨密度検査では骨転移に関する情報は得られません。予測することもできません。

Q

骨転移は、腫瘍マーカーの数値に表れるのでしょうか?

骨転移は、腫瘍マーカーの数値に表れるのでしょうか?

A

腫瘍マーカーが使えるがんにおいては、骨転移の点検は随分有利です。100%とは言えませんが、大多数腫瘍マーカーに変化を生じます。数値の変化で骨転移発見のきっかけとなることがしばしばみられます。

Q

骨転移を早期に発見し、治療を開始する意味は本当にないのでしょうか。

骨転移を早期に発見し、治療を開始する意味は本当にないのでしょうか。

A

骨転移は直接的に生命を脅かす問題ではなく、毎日の生活の質(QOLなどと呼ばれます)に影響を及ぼす問題です。がん診療は生命を最優先に、これまで発展してきました。生命という観点では、微小な骨転移を発見する意義は乏しいことが明らかになっています。毎日の生活の質に、がん医療が目を向け始めた証しとして、骨転移が今注目されつつあるというべきで、「早期から適切な管理をしていくことにより、よりよい生活を送ることが可能になる」という科学的根拠をこれから積み上げていかねばなりません。骨転移も大事だという声が浸透していくことが、そのためにも必要です。

Q

毎年一回骨シンチをやっている病院ですが、骨転移発見にはあまり有効ではないのですか?

毎年一回骨シンチをやっている病院ですが、骨転移発見にはあまり有効ではないのですか?

A

定期的な骨シンチの「必要性は」否定されていますので広くどこでも行われている訳ではありません。実施されていれば無症状の小さな骨転移も見つかる可能性があり発見には有用です。
個別の病状から腫瘍マーカーが病気の活動性の指標として使えなかったり、転移の可能性が高いと判断されている場合は適切な検査スケジュールでしょう。
一方、一律無条件に全てのがん患者さんに実施するとなれば、比較的高価な検査で被曝も伴ない、科学的根拠にも乏しいと批判が生じる可能性があります。医療費にしても無尽蔵な訳ではありません。医療資源は限りあるもので皆で共有するものとの考え方が、今日では広まっています。小さな骨転移をみつける意義だけでは論じられない部分です。

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Q&A

日頃気を付けておくべきこと

Q

骨転移が起こってから、早めに対処する為には、どのような検査を定期的に受ければ良いでしょうか?

骨転移が起こってから、早めに対処する為には、どのような検査を定期的に受ければ良いでしょうか?

A

点検の方法はがんの種類によって異なるため、がんナビ連載の第7, 11~15回を参照下さい。医師がどのように検査計画を立案するのかの概略をつかんでおくと、診察の時の説明が理解しやすくなると思います。ただ、どの検査をどのタイミングで実施するかも、やはりその時々の病状に応じた比較的高度な医学的判断を含んでいます。
患者さんが自己管理するのは、これまでにない痛みが生じたときに、「骨転移では?」と気付くこと、「我慢できるから大丈夫」と自己判断しないこと、主治医に痛みをきちんと伝え、「骨転移は大丈夫でしょうか?」と尋ねること、これが骨折や麻痺に至らない最も大切な点です。

Q

骨転移後の治療は、各部位の診療科ではなく、整形外科に行った方が良いのでしょうか?

骨転移後の治療は、各部位の診療科ではなく、整形外科に行った方が良いのでしょうか?

A

骨転移もがんの転移の一つです。ほとんどの場合は、各がんを診療する科で対応していますが、治療上専門的判断が必要な場合に整形外科に紹介されているのが、実情と思われます。必ず、元のがんの状態が診療情報として必要ですので、整形外科へは主治医からの紹介で行かれることをお勧めします。
一方、何か痛みが出たらすぐにがん病院へ行くのは大変だ、という方は、お近くの整形外科医院を受診される場面もあるかと思います。その場合は、「○年前から○○がんの治療を受けていて、現在の痛みが骨転移でないか心配しています。」などと骨転移というキーワードがあった方がよいでしょう。その際、治療後再発や転移が生じているのか、病状は安定しているのか進み加減なのかなど分かる範囲で伝えるようにしましょう。
残念ながら、がん骨転移への認識が十分に広まっているとは言えない今日では、「骨転移は大丈夫ですか?」と積極的に尋ねる行動がご自身の身を守ることにつながると思います。

Q

48時間以内の緊急手術は、どの病院でも出来るものですか?

48時間以内の緊急手術は、どの病院でも出来るものですか?

A

できないのが実情です。だからこそ、痛みが出た時点で早めに受診することを繰り返し強調しています。何の予兆もなくいきなり麻痺が生じる訳ではありません。痛みが出ていながら、骨転移の予備知識がなく我慢していた場合に、麻痺の危険が忍び寄ってきます。あるいは、まぁ大丈夫だろうという自己判断が悲惨な結果を招くこともあるでしょう。
まずできることとして、具合が悪くなってから病院に駆け込む事態にならないよう、日頃から骨転移への注意をしておくこと、万が一麻痺症状が出現した場合(とくに休日など)にはどうすればよいか、主治医と話し合っておくことが重要です。
話し合ってみて、逆に診療体制に不安を感じてしまうことになるかもしれません。骨転移診療の改善にはがん患者さんの声が集まることが必要です。骨転移に熱意ある医師が全国にまだ非常に少ないためです。麻痺が全国で毎日のように発生しても、その実情すら把握できていないのが骨転移の現状です。
次世代に同じ苦労をさせないように、骨転移診療の体制を何とかして欲しいと改善要望の輪に加わって頂きたく思います。骨転移診療の実情を示すデータや、麻痺出現時に対応できる医療機関の情報開示を求めていくことも、患者さんや一般の方の立場だからこそできることがあります。今後、このサイトから発信する情報に是非ご注目下さい。

Q

がんになる前から腰痛持ちです。腰痛と骨転移の痛みは、どう見分ければ良いでしょうか?

がんになる前から腰痛持ちです。腰痛と骨転移の痛みは、どう見分ければ良いでしょうか?

A

まず、現時点で骨転移があるか否かを主治医に確認しましょう。腫瘍マーカーやこれまでの検査結果から骨転移が認められていないとすれば、現在の症状を基点にします。忘れてしまいそうなら、痛みの部位やしびれの部位をどこかに書きとめて置くとよいでしょう。痛みの程度は病院では、全くないを0、耐え難いを10としたとき、3くらいとか7-8くらいなどと数値で記録します。これならご自身でも管理が可能です。
基点から新たに悪化して生じてきた痛みやしびれについては、要注意です。とくに少し病状が進行気味の方や、とくに体への負担のかかるようなことをしていないのに悪化してきたのなら、予約を早めて再診して主治医に相談しましょう。くれぐれも自己判断は禁物です。見分けるのは主治医に相談して下さい。

Q

膵臓がんは骨転移しにくいと言われますが、主治医と骨転移の対処について話し合っておいた方が良いでしょうか?

膵臓がんは骨転移しにくいと言われますが、主治医と骨転移の対処について話し合っておいた方が良いでしょうか?

A

一般に、消化器がんは骨転移しにくいことが知られていますが、再発や他の臓器に転移が生じている方では、油断は禁物です。「骨転移は現在大丈夫でしょうか」とまずは主治医に相談する姿勢が大切です。

Q

骨転移の薬物療法(ゾメタ、ランマーク、アレディア)の副作用には顎骨壊死があるそうですが、治療前の歯科治療はどの程度のことをすれば良いでしょうか?

骨転移の薬物療法(ゾメタ、ランマーク、アレディア)の副作用には顎骨壊死があるそうですが、治療前の歯科治療はどの程度のことをすれば良いでしょうか?

A

がんナビ第8回の記事を参照下さい。今日では歯科に行くと必ずと言っていいほどこれら骨転移の治療薬があれば申し出て下さいと案内するポスターを見かけます。歯科医もよく認識していますので、よく相談しましょう。患者さんの立場で気をつけておいていただきたいのは、がんの診断を受けた時点で虫歯や口腔内衛生のチェックを一度きちんと歯科で受けておくことです。いざ骨転移が見つかったときに、歯の治療をしていなくてお薬が使えないといった事態を避けるために大切な事柄なのです。

Q

骨転移があると、アルコールは控えた方が良いでしょうか?

骨転移があると、アルコールは控えた方が良いでしょうか?

A

アルコールとの関係性はとくにないと考えられており、骨転移を指摘されたからと言って、飲酒をやめる根拠も量を増やす根拠もありません。

Q

骨転移が起きてから、日常で体を動かす時、どのようなことに気を付ければ良いでしょうか?

骨転移が起きてから、日常で体を動かす時、どのようなことに気を付ければ良いでしょうか?

A

個別の病状により異なりますので、必ず主治医に確認が必要です。あくまでも一般論となりますが、骨転移は痛みが生じてくる可能性がある状態ですから、必ず軽い運動から開始して痛みの出てこないことを確認しながら徐々に強度を上げる必要があります。そして痛みがあったら必ず中止しなければなりません。

Q

セルフケアの体操やカルシウムを多く摂るようにするとか、病状を悪化させないために出来ることはありますか?

セルフケアの体操やカルシウムを多く摂るようにするとか、病状を悪化させないために出来ることはありますか?

A

日常生活の過ごし方により良い効果が期待できるものは、現時点では証明されたものはありません。

Q

骨転移を予防することは出来ますか?

骨転移を予防することは出来ますか?

A

原発がんの治療後に骨転移が見つかることが多いので、新たに生じてくるもののように感じられますが、骨転移患者さんの体の中では実は、原発がんが見つかった時点ですでに目に見えない小さな骨転移病変は生じていると考えるのが一般的です。それが、時間をかけて少しずつ大きくなり、あるとき検査でそれと分かるまでになります。
したがって強いて言えば、原発がんを早期発見し早期治療するのが、最良の予防法となりますが、その後骨転移を生じてくるかどうかは、すでにがんが見つかった時点で(人間が考え出した検査方法では見つけられないだけで)運命づけられているとも言えます。
また骨転移が見つかっていない段階から、骨転移ありと仮定して予防的に治療する有用性がないことは科学的に示されていますので、骨転移の生じることを有効に予防する手段をまだ人類は持ち合わせていないとするのが現時点では適切なお答えになるかと思います。

Q

日常生活で注目しておくべき事、症状はありますか

日常生活で注目しておくべき事、症状はありますか

A

簡潔な質問ながら、多岐にわたる回答を要します。単純ではないからこそ、骨転移の問題があるとも言えるかもしれません。「身を守るための情報」の解説もご参照ください。

Q

歩行不能に陥ったとき、どう病院にかかればよいか。

歩行不能に陥ったとき、どう病院にかかればよいか。

A

予備知識を学んで歩行不能に陥る前に治療を受けられることの方がはるかに大切です。歩けなくなってようやく病院受診を考える姿勢では、手遅れになる危険性が高くなります。日頃から、主治医の先生に骨転移の有無を確認しておく、万が一のときにはどう対処するか相談しておいて下さい。麻痺発生時の対応は、各医療機関、医療圏により異なりますので事前に話し合っておく必要があります。

Q

なぜ「歯の健康」を大事にしないといけないのでしょう。

なぜ「歯の健康」を大事にしないといけないのでしょう。

A

骨転移の治療に用いるゾメタ、ランマークというお薬の顎骨壊死という副作用に遭わないためです。口腔内の衛生状態が良いと起こりにくいことが判明しています。

Q

予防に、カルシウム剤を飲んだ方がよいでしょうか。

予防に、カルシウム剤を飲んだ方がよいでしょうか。

A

骨転移の予防法は確立されていません。

Q

経口ビスフォスフォネートは、骨転移の予防に何らかの効果は期待できますか?

経口ビスフォスフォネートは、骨転移の予防に何らかの効果は期待できますか?

A

がん治療中は骨量減少を生じやすいため、骨粗鬆症の対策をしておくという意味では、価値があります。予防効果は現時点では不明です。

Q

食事、運動、マッサージは良い効果が在りますか。

食事、運動、マッサージは良い効果が在りますか。

A

予防の意味はありません。がん治療により体力は低下していくことが多いので、心がけてウォーキングやバランスの良い食事など、健康的な生活を心がけることは重要です。

Q

骨転移を防ぐ、日常の暮らし方。(運動・食生活など)ありますか?

骨転移を防ぐ、日常の暮らし方。(運動・食生活など)ありますか?

A

骨転移の予防法は確立されていません。

Q

スポーツジムなどでの筋力トレーニングはしない方が良いでしょうか。

スポーツジムなどでの筋力トレーニングはしない方が良いでしょうか。

A

骨転移のある方は、一般に激しいスポーツは控えた方がよいでしょう。詳しくは担当医に相談しましょう。

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Q&A

検査法について

Q

骨転移の検査について、X線・MRI・骨シンチでは、それぞれどのような情報が得られ、どのように使い分けられるのでしょうか?

骨転移の検査について、X線・MRI・骨シンチでは、それぞれどのような情報が得られ、どのように使い分けられるのでしょうか?

A

がんナビ第7回も参照下さい。
X線は最も簡便ですぐに結果が分かるので現在もまずはじめに用いられる検査です。小さな病変を見つけるのには適しませんが、比較的大きな病変であれば見つけることができ、治療の緊急性を取り急ぎ判断することができます。病変部位が特定されていたり、痛みが生じていて部位が明瞭な場合には現在もまず最初に行なう検査となります。ただし、麻痺の原因となりやすい胸椎では心臓などと重なるため、レントゲンのみでは判断が困難なことが多く、麻痺のおそれがある場合にはMRI(すぐに実施できなければCT)による精密検査が必要となります。
骨シンチは、全身の骨を一気に調べることができるため、からだのどの部分に病変があるかを教えてくれる検査です。全身の骨転移の分布やその活動性を明らかにするのが主な目的の検査です。骨シンチは骨折や麻痺のリスクを判断するには適さず、判明した部位に対してX線やCT, MRIなど他の画像検査での評価が必要になってきます。
MRI検査は、通常後日の予約となり簡便な検査とは言えませんが、麻痺リスクの評価には最も有用な検査です。とくに脊髄の圧迫の程度や腫れ具合まで画像化されるので、脊椎に転移が生じている方で病状の進行がみられている場合などに実施されています。

Q

ALPの数値が高い人は骨転移を疑うことが必要でしょうか?

ALPの数値が高い人は骨転移を疑うことが必要でしょうか?

A

単一の血液検査項目で骨転移の判断ができるものはまだありません。ALPという検査も骨の代謝以外に様々な原因により変動しますので、疑いを持つきっかけになることはあっても結果的に他の検査とも組み合わせて医師は判断しています。スクリーニング検査(これまで骨転移はなかったが新たに発生していないか調べる検査)としては不十分なため、医師は参考にする程度にみています。
なお、すでに骨転移が多発している方では、その活動性を反映して数値が上昇することがあります。新たに発見する指標よりは、既知の骨転移の活動性の指標となる場合のほうが多く、治療方針を左右するような重要な判断の決め手になることはあまりありません。

Q

骨密度検査でも、骨転移は予測的に分かるのでしょうか?

骨密度検査でも、骨転移は予測的に分かるのでしょうか?

A

残念ながら、骨密度検査では骨転移に関する情報は得られません。予測することもできません。

Q

骨シンチ検査に副作用はありますか?

骨シンチ検査に副作用はありますか?

A

理論上は、放射線被曝と注射による痛みの残存やしびれなどが挙げられますが、現実的には骨シンチにより大きな障害が残るというのはきわめて稀なことと思われます。「副作用の説明を受けた時の心構え」もご参照ください。

Q

PET検査を定期的に受けていれば、骨転移の発見も可能でしょうか?

PET検査を定期的に受けていれば、骨転移の発見も可能でしょうか?

A

骨転移のスクリーニング検査として、定期的な骨シンチやPET検査が有用かについては、骨転移頻度の高い乳癌においても有用性はないと結論が出ており、推奨されません。ただし、内臓転移や再発の点検としてPETを実施されている方の場合には、副次的に骨転移の情報も含まれていますので、たまたま別の目的でPETを受けていたら骨転移が見つかったというケースはあります。

Q

骨転移は、腫瘍マーカーの数値に表れるのでしょうか?

骨転移は、腫瘍マーカーの数値に表れるのでしょうか?

A

腫瘍マーカーが使えるがんにおいては、骨転移の点検は随分有利です。100%とは言えませんが、大多数腫瘍マーカーに変化を生じます。数値の変化で骨転移発見のきっかけとなることがしばしばみられます。

Q

友人の患者は骨転移の場所が広がっているにも関わらず、痛みがないので、その場合の骨折麻痺チェック方法は?

友人の患者は骨転移の場所が広がっているにも関わらず、痛みがないので、その場合の骨折麻痺チェック方法は?

A

病院で医師が判断する内容になりますが、骨折リスクについては、ミレルズスコア(Mirel’s score)や骨破壊の長径で評価するなどの方法があります。麻痺のリスク評価法は確立されていません。
無症状の方に、いきなり麻痺が襲ってくる訳ではありません。麻痺に至るには、それなりの大きさになるまで背骨の転移が成長する時間経過があります。痛みを自覚されているのに我慢できるから放っておいたとか、骨転移による麻痺の知識が全くない方が、受診が遅れ、麻痺に至っています。無症状のときには、麻痺のリスクは遠い彼方にあります。

Q

骨シンチやMRIを定期的に受診した方が良いか。(乳がん患者)

骨シンチやMRIを定期的に受診した方が良いか。(乳がん患者)

A

かなり骨転移に詳しい方のご質問とお見受けします。乳がんでは腫瘍マーカーによる点検が一般的で、定期的な骨シンチなどの画像検査の有用性は否定されています。ただ診療の場面では、骨転移に対する不安が、検査をしてくれない不安に変わってしまうことがあります。
そのような場合は、「骨転移のことが心配なのですが。麻痺の危険性は今は大丈夫でしょうか。万が一麻痺が生じたらどう対処したらいいですか。」など、ご自身の不安に思っていることを率直に尋ねるのが良いと思います。「検査してもらえませんか?」よりは、少し聞きやすいのではないでしょうか。

Q

腫瘍マーカーの定期的なチェックの理想的なサイクルは?

腫瘍マーカーの定期的なチェックの理想的なサイクルは?

A

簡潔明瞭なお答えを期待されていると思われますが、様々な要素を加味して医学的に判断される問題です。

Q

1年に一回検査をしていますが、基本は反対の乳房、肺のレントゲン、血液検査です。必ずCEA、CA15-3の検査は基本検査に含まれているのでしょうか?(乳がん患者)

1年に一回検査をしていますが、基本は反対の乳房、肺のレントゲン、血液検査です。必ずCEA、CA15-3の検査は基本検査に含まれているのでしょうか?(乳がん患者)

A

その質問を担当医にぶつけて下さい。また検査の結果を見せてもらったり、説明を求めましょう。腫瘍マーカーが手術前に確かに上がっていた方なら、通常検査項目に含まれています。

Q

腫瘍マーカーでチェックすることで大丈夫ですか?(乳がん患者)

腫瘍マーカーでチェックすることで大丈夫ですか?(乳がん患者)

A

腫瘍マーカーが使える方では推奨される点検方法となります。腫瘍マーカーが使えない可能性がある方は、画像検査が少し多くなります。またご自身でも痛みなどの症状に注意をしておきます。

Q

毎年一回骨シンチをやっている病院ですが、骨転移発見にはあまり有効ではないのですか?

毎年一回骨シンチをやっている病院ですが、骨転移発見にはあまり有効ではないのですか?

A

定期的な骨シンチの「必要性は」否定されていますので広くどこでも行われている訳ではありません。実施されていれば無症状の小さな骨転移も見つかる可能性があり発見には有用です。
個別の病状から腫瘍マーカーが病気の活動性の指標として使えなかったり、転移の可能性が高いと判断されている場合は適切な検査スケジュールでしょう。
一方、一律無条件に全てのがん患者さんに実施するとなれば、比較的高価な検査で被曝も伴ない、科学的根拠にも乏しいと批判が生じる可能性があります。医療費にしても無尽蔵な訳ではありません。医療資源は限りあるもので皆で共有するものとの考え方が、今日では広まっています。小さな骨転移をみつける意義だけでは論じられない部分です。

Q

腫瘍マーカーに全くでないタイプのがんです.MRIやPET検査を半年に一度ぐらい検査が良いとのことですが、被爆の問題は大丈夫ですか?1年に1度の方が良い?

腫瘍マーカーに全くでないタイプのがんです.MRIやPET検査を半年に一度ぐらい検査が良いとのことですが、被爆の問題は大丈夫ですか?1年に1度の方が良い?

A

有用な腫瘍マーカーがないがんにおいては、画像検査が頼みの綱になります。腎がんや肝がんではPETも必ずしも有効ではない(偽陰性が多い)のでCTやMRIを多用せざるを得ません。被曝は少ないに越したことはありませんが、不意に大きな骨転移や内臓への転移が生じる危険性と、被曝によるデメリットを天秤にかけるなら、検査しておくメリットが上回ると判断されるのが通常です。腫瘍マーカーが使えず、画像検査も実施できないとなれば、体の中でがんが暴れていようと把握できず、患者さんの生命の安全も確保が難しくなることが予想されます。点検の間隔は個別の病状の問題が含まれますので、ここでは回答を差し控えます。

Q

骨転移の検査では、まずレントゲン撮影をすると思いますが、何度もレントゲンを受けることに抵抗があります。無駄に被爆したくないと思うのですが、考えすぎでしょうか?

骨転移の検査では、まずレントゲン撮影をすると思いますが、何度もレントゲンを受けることに抵抗があります。無駄に被爆したくないと思うのですが、考えすぎでしょうか?

A

小児や妊娠中の方に対するレントゲン検査の必要性は、格段に慎重な判断がなされています。また放射線被曝に対して脆弱な基礎疾患をお持ちの方も同様です。その他の方では過去の度重なるレントゲン撮影やCTが問題となり健康被害が生じたケースは、きわめて稀もしくは現実的にはほとんど経験されないとお考え下さい。
副作用は文字通り「副」作用なので、主の作用、つまりこの場合は骨転移が判明するというメリットが上回ることが、長い医学の歴史の中で実績がつまれてきたからこそ、約100年前のレントゲンの発明が今日まで廃れることなくまず最初の検査に生き続けています。

Q

骨密度の低下は骨転移のいい目安になりますか

骨密度の低下は骨転移のいい目安になりますか

A

骨密度の低下とがん骨転移は本質的に異なるものです。骨転移の検査に骨密度を利用するという考え方はありません。

Q

知人ががんの手術後、背骨の痛みを訴えて近くの整形を受診。問題なしといわれ、その後骨転移とわかりました。レントゲン画像ではすぐに見つけにくいのでしょうか。

知人ががんの手術後、背骨の痛みを訴えて近くの整形を受診。問題なしといわれ、その後骨転移とわかりました。レントゲン画像ではすぐに見つけにくいのでしょうか。

A

検査は人間が考え出したものです。ある大きさにならないと、画像に映ってきませんし、画像をみて判断する医師も、あまりに小さいと病変があると認識するには至りません。骨転移と判明した後に、振り返って2-3ヶ月前の写真を見直せばそこに小さな変化が見られて、結果的に骨転移の初期の所見だったということは、ありえる話と思います。初期のものを見つけることは、どんな疾患でも難しい。
ただ、ことさら小さな病変を見つけることよりも、骨折や麻痺に至らないように管理していくのが骨転移です。比較的大きな骨転移が多発している方でも、日常生活に何ら不自由のない方もたくさんおられます。一旦、異状なしと診断されても、今までと違う痛みと思うときには臆さずその症状を担当医に伝え、骨転移でないか確認する姿勢が重要です。

Q

骨転移の見きわめ、診断は,まぎらわしいことがしばしばあるのでしょうか。

骨転移の見きわめ、診断は,まぎらわしいことがしばしばあるのでしょうか。

A

まず優先的に判断されるべき問題は、今にも骨折しそう、麻痺を生じそうな明らかな骨転移がないかどうかの点検です。差し迫った危険がないとの判断であれば、あるのかないのか、という存在自体の診断は緊急性を要さず、またあまりに小さな病変を発見する医学的意義が現時点では乏しいことから、後日の精密検査を受けるかもしくは症状が出てきたり増悪してきた際に、担当医を再診する姿勢でよいでしょう。

Q

骨シンチだけで骨転移の有無が分かりますか。

骨シンチだけで骨転移の有無が分かりますか。

A

医師はさまざまな情報から的確な診断と治療方針を導き出していて、骨シンチは重要な骨転移の検査の一つですが、人間が考え出したものですから完璧な検査ではありません。例えば、腎がんや肝がんでは骨転移があるにも関らず、骨シンチで異常を示さない偽陰性という現象が多いことが分かっています。その他の補完しあう検査を組み合わせて総合的に判断される場合も多々見られます。

Q

腫瘍マーカーに変化がないので、どう主治医に骨シンチ検査を依頼すればよいか?

腫瘍マーカーに変化がないので、どう主治医に骨シンチ検査を依頼すればよいか?

A

骨転移の心配が、いつのまにやら骨シンチが受けさせてもらえない不安に置き換わってしまっています。腫瘍マーカーが使える方なら、安定していれば当面不要かと思われます。「骨転移は大丈夫でしょうか。」と尋ねるようにされるといいでしょう。

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Q&A

薬物治療について

Q

骨転移の痛みの緩和は、どのような治療になるのでしょうか?また、痛みを完全に取り除くことが出来るのでしょうか?

骨転移の痛みの緩和は、どのような治療になるのでしょうか?また、痛みを完全に取り除くことが出来るのでしょうか?

A

一言に痛みと言っても、骨折の危険が高まり骨強度が低下している場合は、手術が必要な場合がありますし、放射線治療を考慮すべき場合もあります。ゾメタ・ランマークで軽減される痛みもあれば、骨転移特有のこれらの治療法ではなく、モルヒネ系のお薬の調整のみで対処する場合まであり、個別の状況判断の要素が大きい質問になります。一般的なご回答としては、かなり幅の広い対処法があるとご理解下さい。
なお近年では、緩和医療はめざましい発展を遂げています。もちろん人間の体に100%と言えることは皆無に近い訳ですが、症状緩和の選択肢は飛躍的に増加しています。今できる治療も一昔前は夢であったものが、いくつも存在します。今できる最善の治療を受けられるよう、緩和の先生の話にもよく耳を傾けるようになさって下さい。

Q

骨転移の薬物療法(ゾメタ、ランマーク、アレディア)は、骨転移が消失するまで続けるのでしょうか?また、薬剤耐性は起きないのでしょうか?

骨転移の薬物療法(ゾメタ、ランマーク、アレディア)は、骨転移が消失するまで続けるのでしょうか?また、薬剤耐性は起きないのでしょうか?

A

治療の大原則は、骨転移を完全に消失させることではありません。病変があってもそれ自体は問題ではなく、大人しく重篤な事態を引き起こさないようにすることが目標です。どこか糖尿病やリウマチなどと治療目標が似ています。
薬物療法は骨折や麻痺などの骨関連事象の発生を抑制したり遅らせる作用があります。薬剤耐性の問題は指摘されていません。一緒に行われる抗がん剤や、ホルモン療法や分子標的薬による薬物療法の効き目が低下してきて、がんの活動性が活発になってくると、しばしば主治医から薬の変更の提案がなされますが、骨転移への薬物療法は変更されることは通常ありません。終了する時期に関するデータが不足していますが、現状では骨転移のある方には継続投与されるのが一般的です。がんへの薬物療法が著効している場合には、骨転移への薬物療法も一時お休みすることは考慮されてもいいのですが、現在研究が進められている段階です。現時点では個別の状況判断が必要ですので、主治医とご相談下さい。

Q

骨転移の薬物療法(ゾメタ、ランマーク、アレディア)の副作用には顎骨壊死があるそうですが、治療前の歯科治療はどの程度のことをすれば良いでしょうか?

骨転移の薬物療法(ゾメタ、ランマーク、アレディア)の副作用には顎骨壊死があるそうですが、治療前の歯科治療はどの程度のことをすれば良いでしょうか?

A

がんナビ第8回の記事を参照下さい。今日では歯科に行くと必ずと言っていいほどこれら骨転移の治療薬があれば申し出て下さいと案内するポスターを見かけます。歯科医もよく認識していますので、よく相談しましょう。患者さんの立場で気をつけておいていただきたいのは、がんの診断を受けた時点で虫歯や口腔内衛生のチェックを一度きちんと歯科で受けておくことです。いざ骨転移が見つかったときに、歯の治療をしていなくてお薬が使えないといった事態を避けるために大切な事柄なのです。

Q

痛みが出るまで何もできないのでしょうか。

痛みが出るまで何もできないのでしょうか。

A

無症候性といい、骨転移があっても症状がない方がほとんどです。この場合は、ゾメタやランマークといった骨転移の進行を遅らせる治療を行うことが広く行われています。このお薬が普及したことにより、多くの恩恵を受けています。これも立派な治療です。
日本人は痛みを我慢しがちです。とくに注意すべき痛みの特徴は、「身を守るための情報」の解説をご参照ください。痛みはご自身でしかキャッチできません。我慢は禁物と考えるようにして下さい。

Q

治療開始のタイミングは

治療開始のタイミングは

A

がんナビ第8-10回を参照。
第8回「薬剤による骨転移治療」
第9回「骨転移に対する放射線治療」
第10回「骨転移に対する手術に臨む前に」

Q

ゾメタやランマークは、骨転移治療にどのくらいの頻度で使われていますか?また、治療による骨転移の改善により、治療を終了することはありますか?

ゾメタやランマークは、骨転移治療にどのくらいの頻度で使われていますか?また、治療による骨転移の改善により、治療を終了することはありますか?

A

がんナビ第8回「薬剤による骨転移治療」を参照下さい。病状が安定してきた際に、治療の終了や治療回数の削減が現在検討されていますが、一定の指針はまだ出ていません。個別に主治医の先生と患者さんのご負担を考慮しながら現場で判断されていると思われます。

Q

麻痺出現時にステロイド投与が行われるのはなぜですか?

麻痺出現時にステロイド投与が行われるのはなぜですか?

A

脊椎転移による脊髄の圧迫は、多くの場合、骨転移病変による圧迫と、圧迫部位で脊髄が腫れることとが同時に起こっています。ステロイドというお薬は、脊髄の腫れを抑える作用があります。寝たきりに陥るか否かの瀬戸際にある場合、ステロイドの点滴が麻痺の回避につながることがあるのです。また放射線治療中の脊髄の腫れを抑える目的で使用されることもあります。使用にあたっては、その他の全身状態を考慮しながら投与の判断が行なわれています。

Q

最初溶骨性と言われましたが、治療により造骨性に変わったと言われました。そういうこともあるのですか。

最初溶骨性と言われましたが、治療により造骨性に変わったと言われました。そういうこともあるのですか。

A

ホルモン療法や抗がん剤治療が効いてくると、からだが本来兼ね備えている回復力が発揮されて旺盛な骨修復が起こり、一見すると造骨性のように見えることがあります。とくにゾメタやランマークと併用する時代になって、この現象がよくみられるようになりました。通常は、お薬の治療が著効している場合に観察されます。

Q

痛みのコントロールについて、どのような痛みに何を用いるのがよいか、具体的に教えてください。

痛みのコントロールについて、どのような痛みに何を用いるのがよいか、具体的に教えてください。

A

昔ながらのお薬の匙加減のお話になります。一冊の本になるくらいですからとてもここでは端的にお答えできません。日本緩和医療学会のサイトで、がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014年版が閲覧できるようになっています。一言に痛みのコントロールと言っても、背景にある膨大な情報量に驚かれるかもしれません。お一人お一人の病状に応じて判断されますので、担当医とよく相談し説明を受けることが肝要です。

Q

術後のホルモン治療中です。もともと骨粗鬆症がありビスフォスフォネート製剤を服用しています。飲み続けていて良いでしょうか?

術後のホルモン治療中です。もともと骨粗鬆症がありビスフォスフォネート製剤を服用しています。飲み続けていて良いでしょうか?

A

がん治療に用いられる種々の薬剤は、(あまり問題視されていませんが)骨量を減少させるものが多く、骨の健康を考えると、骨転移の有無に関わらず骨粗鬆症対策をしていこうという機運が生まれつつあります。この流れを先取りするような、治療を受けておられると思います。

Q

ゾメタ、ランマークによる非定型骨折とはどのような副作用ですか。

ゾメタ、ランマークによる非定型骨折とはどのような副作用ですか。

A

日本整形外科学会、日本骨代謝学会が調査を行ってきましたが一般には非常にまれな副作用です。そのまれな非定型骨折を生じた患者さんの調査結果では、数年以上継続して投与されている方が半数近くを占めており、女性が大多数で、発生する平均年齢が78歳と高齢者に多いなどのデータが出ています。また生まれつきの大腿骨の形状でリスクを評価しようとする研究も報告されています。
ももの付け根(鼡径部と言います)や大腿部の鈍痛またはうずく痛みが前駆症状になるとされますが、無症状のこともあります。年単位で治療継続されている方は、「非定型骨折の心配はないでしょうか。」と尋ねてみてもいいでしょう。
また病状が安定しているときにはゾメタ、ランマークを休薬・減薬するなどの研究が行われており、リスク軽減への取り組みは現在進行中です。

Q

なぜ「歯の健康」を大事にしないといけないのでしょう。

なぜ「歯の健康」を大事にしないといけないのでしょう。

A

骨転移の治療に用いるゾメタ、ランマークというお薬の顎骨壊死という副作用に遭わないためです。口腔内の衛生状態が良いと起こりにくいことが判明しています。

Q

予防に、カルシウム剤を飲んだ方がよいでしょうか。

予防に、カルシウム剤を飲んだ方がよいでしょうか。

A

骨転移の予防法は確立されていません。

Q

経口ビスフォスフォネートは、骨転移の予防に何らかの効果は期待できますか?

経口ビスフォスフォネートは、骨転移の予防に何らかの効果は期待できますか?

A

がん治療中は骨量減少を生じやすいため、骨粗鬆症の対策をしておくという意味では、価値があります。予防効果は現時点では不明です。

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Q&A

放射線治療について

Q

放射線により骨転移治療を受けたが、同じ場所にまた痛みやしびれが現れてきた場合、再治療は出来るでしょうか?

放射線により骨転移治療を受けたが、同じ場所にまた痛みやしびれが現れてきた場合、再治療は出来るでしょうか?

A

がんナビ第9回、および小泉雅彦先生の記事「骨転移に対する放射線治療も進歩してきています」をご覧下さい。

Q

放射線治療で骨転移巣はなくなるのでしょうか?

放射線治療で骨転移巣はなくなるのでしょうか?

A

大多数のがん細胞は死滅しますが、完全にゼロにはならないと考えられています。繰り返し強調しますが、骨転移の治療の目標は、麻痺や骨折などの重篤な事態を回避して動ける体を維持することです。つまり、細胞がゼロになるか否かを目標にしているのではないので、比較的大きな病変があることが分かっていても、活動が抑え込まれており、麻痺や骨折の危険を引き起こすものでなければ、管理状態は良好といえるもので怖れるに足りないということになります。

Q

骨を切り取って放射線治療をすることは可能でしょうか?

骨を切り取って放射線治療をすることは可能でしょうか?

A

骨転移病変を完全に切除してしまって理論上がん細胞をゼロにする術式(広範切除などとよびます)が選択される場合がまれにあります。失う骨と術後の機能障害も大きくなるため、実施されるのはさまざまな条件が揃う場合のみです。なお手術でがん細胞が取り切れる術式ですので、術後の放射線治療は不要となります。
一方、がん骨転移に対する一般的な手術治療では、病変部を大きく切除することなく、術後の機能障害を抑える方法が選択されます。骨折の危険があるのならスクリューやプレートで固定、麻痺の危険があるのなら圧迫部を解除する手術(椎弓切除術など)を行ない、術後に放射線治療を追加して、残存するがん細胞をやっつける治療戦略が選択できます。
このように手術と放射線治療はしばしば併用されて体への障害を軽減することに役立っています。

Q

「立てなくなったら48時間以内がタイムリミット」どうしてなのか教えて下さい。

「立てなくなったら48時間以内がタイムリミット」どうしてなのか教えて下さい。

A

治療を行っても回復の見込みがなくなってしまう(とされている)ためです。詳しいメカニズムをおたずねでしたら、詳細は割愛させて下さい。

Q

治療開始のタイミングは

治療開始のタイミングは

A

がんナビ第8-10回を参照。
第8回「薬剤による骨転移治療」
第9回「骨転移に対する放射線治療」
第10回「骨転移に対する手術に臨む前に」

Q

放射線治療後、痛みの軽減が得られるまでの期間はどのくらいかかるか。

放射線治療後、痛みの軽減が得られるまでの期間はどのくらいかかるか。

A

通常2-4週以内に8割方痛みの軽減が得られるとされます。やるべき治療はきちんと受けられた状況なので、良くなってくるのを待ちましょう。残っている痛みはきちんと痛み止めの処方を受けましょう。

Q

放射線治療後2か月で痛みが消えない。今後どうなるのか心配。

放射線治療後2か月で痛みが消えない。今後どうなるのか心配。

A

放射線治療はほとんどのがん骨転移に対して有効ですが、全く効かないことがない訳ではありません。また治療としては癌細胞をやっつけることには成功しているが、痛みが狙い通りに引いていない、痛みの改善が遅れているなども想定されます。個別の判断と対応が必要となりますので、まずは痛みが続いていることを主治医に相談しておきましょう。

Q

麻痺出現時にステロイド投与が行われるのはなぜですか?

麻痺出現時にステロイド投与が行われるのはなぜですか?

A

脊椎転移による脊髄の圧迫は、多くの場合、骨転移病変による圧迫と、圧迫部位で脊髄が腫れることとが同時に起こっています。ステロイドというお薬は、脊髄の腫れを抑える作用があります。寝たきりに陥るか否かの瀬戸際にある場合、ステロイドの点滴が麻痺の回避につながることがあるのです。また放射線治療中の脊髄の腫れを抑える目的で使用されることもあります。使用にあたっては、その他の全身状態を考慮しながら投与の判断が行なわれています。

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Q&A

手術について

Q

骨を切り取って放射線治療をすることは可能でしょうか?

骨を切り取って放射線治療をすることは可能でしょうか?

A

骨転移病変を完全に切除してしまって理論上がん細胞をゼロにする術式(広範切除などとよびます)が選択される場合がまれにあります。失う骨と術後の機能障害も大きくなるため、実施されるのはさまざまな条件が揃う場合のみです。なお手術でがん細胞が取り切れる術式ですので、術後の放射線治療は不要となります。
一方、がん骨転移に対する一般的な手術治療では、病変部を大きく切除することなく、術後の機能障害を抑える方法が選択されます。骨折の危険があるのならスクリューやプレートで固定、麻痺の危険があるのなら圧迫部を解除する手術(椎弓切除術など)を行ない、術後に放射線治療を追加して、残存するがん細胞をやっつける治療戦略が選択できます。
このように手術と放射線治療はしばしば併用されて体への障害を軽減することに役立っています。

Q

48時間以内の緊急手術は、どの病院でも出来るものですか?

48時間以内の緊急手術は、どの病院でも出来るものですか?

A

できないのが実情です。だからこそ、痛みが出た時点で早めに受診することを繰り返し強調しています。何の予兆もなくいきなり麻痺が生じる訳ではありません。痛みが出ていながら、骨転移の予備知識がなく我慢していた場合に、麻痺の危険が忍び寄ってきます。あるいは、まぁ大丈夫だろうという自己判断が悲惨な結果を招くこともあるでしょう。
まずできることとして、具合が悪くなってから病院に駆け込む事態にならないよう、日頃から骨転移への注意をしておくこと、万が一麻痺症状が出現した場合(とくに休日など)にはどうすればよいか、主治医と話し合っておくことが重要です。
話し合ってみて、逆に診療体制に不安を感じてしまうことになるかもしれません。骨転移診療の改善にはがん患者さんの声が集まることが必要です。骨転移に熱意ある医師が全国にまだ非常に少ないためです。麻痺が全国で毎日のように発生しても、その実情すら把握できていないのが骨転移の現状です。
次世代に同じ苦労をさせないように、骨転移診療の体制を何とかして欲しいと改善要望の輪に加わって頂きたく思います。骨転移診療の実情を示すデータや、麻痺出現時に対応できる医療機関の情報開示を求めていくことも、患者さんや一般の方の立場だからこそできることがあります。今後、このサイトから発信する情報に是非ご注目下さい。

Q

「立てなくなったら48時間以内がタイムリミット」どうしてなのか教えて下さい。

「立てなくなったら48時間以内がタイムリミット」どうしてなのか教えて下さい。

A

治療を行っても回復の見込みがなくなってしまう(とされている)ためです。詳しいメカニズムをおたずねでしたら、詳細は割愛させて下さい。

Q

治療開始のタイミングは

治療開始のタイミングは

A

がんナビ第8-10回を参照。
第8回「薬剤による骨転移治療」
第9回「骨転移に対する放射線治療」
第10回「骨転移に対する手術に臨む前に」

Q

がん骨転移による骨折を手術した場合、どのくらいで歩けるようになりますか。

がん骨転移による骨折を手術した場合、どのくらいで歩けるようになりますか。

A

治療内容や年齢、リハビリテーション、合併症の有無や元々の身体能力など個別事情を踏まえて出ないと回答できない質問になります。

Q

リハビリはどこで受けたらよいのでしょう。

リハビリはどこで受けたらよいのでしょう。

A

治療をお受けになられた病院となります。通院でリハビリをしている病院は、地域差が大きくほとんどできない地域の方が多いのではと思われます。リハビリの診療体制は十分ではありませんので、自宅でのリハビリの継続方法を指導してもらうのが、現状と思われます。

Q

がん骨転移の可能性を患者が訴えた場合、検査したり、緊急手術ができる整形外科医は、どのくらいいらっしゃるのですか?

がん骨転移の可能性を患者が訴えた場合、検査したり、緊急手術ができる整形外科医は、どのくらいいらっしゃるのですか?

A

未知数と言わざるを得ません。緊急対応も十分とは言えない、患者さんへの情報提供も十分行われていない、専門医も全国に数百人、知らずに麻痺に陥っている人がいるという事実。まさに、これが骨転移診療の現状なのです。少数の熱心な医師に支えられている現状も、このままでは彼らとて疲弊して倒れてしまうかもしれません。専門医もがん患者さんをはじめ、民意の高まりを必要としています。Walk Togetherはやっと近畿圏で活動を始めたばかりです。皆さんの協力が必要なのです。

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Q&A

緩和医療について

Q

骨転移の痛みの緩和は、どのような治療になるのでしょうか?また、痛みを完全に取り除くことが出来るのでしょうか?

骨転移の痛みの緩和は、どのような治療になるのでしょうか?また、痛みを完全に取り除くことが出来るのでしょうか?

A

一言に痛みと言っても、骨折の危険が高まり骨強度が低下している場合は、手術が必要な場合がありますし、放射線治療を考慮すべき場合もあります。ゾメタ・ランマークで軽減される痛みもあれば、骨転移特有のこれらの治療法ではなく、モルヒネ系のお薬の調整のみで対処する場合まであり、個別の状況判断の要素が大きい質問になります。一般的なご回答としては、かなり幅の広い対処法があるとご理解下さい。
なお近年では、緩和医療はめざましい発展を遂げています。もちろん人間の体に100%と言えることは皆無に近い訳ですが、症状緩和の選択肢は飛躍的に増加しています。今できる治療も一昔前は夢であったものが、いくつも存在します。今できる最善の治療を受けられるよう、緩和の先生の話にもよく耳を傾けるようになさって下さい。

Q

がん骨転移から排泄が自分でできなくなることが起こりうるのはなぜですか。

がん骨転移から排泄が自分でできなくなることが起こりうるのはなぜですか。

A

脊椎への転移が原因で、麻痺が重篤になると膀胱直腸障害といい、神経の働きの一つである排泄のコントロールも失われるためです。排泄は最もプライバシーの高い人間の尊厳に関わる部分です。患者さんご本人とご家族の辛苦は筆舌しがたいものがあります。体験談冒頭の今井様の寄稿もご参照ください。

Q

骨転移の治療はできないと判断されたらどうすればよいか。

骨転移の治療はできないと判断されたらどうすればよいか。

A

骨転移では、すでに全身に転移が拡がり、手術などの負担の大きい治療を断念せざるを得ない場合があります。治療ができない理由については、十分説明を求めて下さい。それなりの理由があるはずですので、他の病院でも同じ判断となる可能性があります。すべきではないとの判断も、ときにはありうることはご理解下さい。その後は、現在ある症状の緩和治療をなるべく手厚く受けられる方法を考えていくのが通常となります。骨転移の診療に比べると、緩和医療は一足も二足も先に、近年急速に進歩しています。少しでも辛い症状を取ってもらえるようになさって下さい。

Q

骨転移の治療のあと、内科に回されて治療を断られた場合、骨転移の治療はどこに行ったらよいのでしょう。

骨転移の治療のあと、内科に回されて治療を断られた場合、骨転移の治療はどこに行ったらよいのでしょう。

A

医療難民問題が生じていると思います。随分改善されてきてはいますが、まだときおり見られているようです。一般的には、これまで重要な場面で治療を受けてきた医療機関の担当医に相談するのが、妥当と思われます。縁が切れてしまっている場合は、がん患者さんの相談に応じておられるNPO法人もあると聞きます。また実際、これ以上の治療が難しく、緩和ケア主体となる場合は、在宅医療の地域の先生を見つける方が、手厚く対応を考えて下さる場合もあるでしょう。約10年前と比べると、在宅医療や介護サービスは飛躍的に充実しています。大病院に不得手な部分は、様々な日本の医療サービスを利用することを考えた方が得策です。

Q

痛みのコントロールについて、どのような痛みに何を用いるのがよいか、具体的に教えてください。

痛みのコントロールについて、どのような痛みに何を用いるのがよいか、具体的に教えてください。

A

昔ながらのお薬の匙加減のお話になります。一冊の本になるくらいですからとてもここでは端的にお答えできません。日本緩和医療学会のサイトで、がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014年版が閲覧できるようになっています。一言に痛みのコントロールと言っても、背景にある膨大な情報量に驚かれるかもしれません。お一人お一人の病状に応じて判断されますので、担当医とよく相談し説明を受けることが肝要です。

Q

これ以上治療は出来ないと云われ、現在在宅医の訪問を受けているのみです。このまま命の尽きるのを待つだけなのか不安です。

これ以上治療は出来ないと云われ、現在在宅医の訪問を受けているのみです。このまま命の尽きるのを待つだけなのか不安です。

A

大病院から縁を切られたように感じてしまう場面です。科学技術が高度に進歩しても、解決できない問題が必ず出てきます。幾多の人が同じ難題に遭遇して、どう生きる力を見出してきたのか、さまざまな答えがあるのだと思います。医療だけで光明を見出せない状況ですが、それでも地域には何とか力になりたいと考えている在宅医や介護、福祉の方々がおられます。満足には程遠いかもしれませんが、在宅や介護はここ10年で急速に良くなり、医療難民化の問題はかなり解消されてきました。医療として受けられるサービスを十分に享受されますように。

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Q&A

その他の治療について

Q

ストロンチウム治療について、どのような骨転移に、どのタイミングで使用するのが効果的でしょうか?

ストロンチウム治療について、どのような骨転移に、どのタイミングで使用するのが効果的でしょうか?

A

ストロンチウムは疼痛を緩和する効果が期待できますが、がん細胞をやっつける効果は十分ではありません。少し分かりにくいかもしれませんが、通常の放射線治療のようにがん細胞を死滅させる効果を得るまでには至らず、主として疼痛緩和目的で用いられる薬剤です。
また全身に多発していても、一回の注射で全ての病変に効く反面、このような状況下で通常一般に行われる抗がん剤治療と併用することは副作用の面で推奨されません。乳がんや前立腺がんなど、ホルモン治療が当面継続予定の方で、多発する骨転移により痛みのある方にとっては良い治療選択になると思われます。
がんの勢いがまだ強く、抗がん剤治療が当面続く場合には使いづらく、また抗がん剤の効果が現れ出すと骨転移のがん細胞も制圧され痛みも引いてきますので、ストロンチウム治療の出番がなくなる、といったケースが実際には多いと思われます。
がんナビレポート「骨転移の痛みを和らげるストロンチウム89」を参照下さい。

Q

現在骨の再生術はどの程度まで進歩しているのか。

現在骨の再生術はどの程度まで進歩しているのか。

A

転移性骨腫瘍では、種々の人工関節を用いて機能再建することが今日可能となっていますが、骨再生の技術自体がまだ十分な実用性を伴っていません。これには、転移を生じていることから幹細胞をどのように得るかの問題や、また引き続き抗がん剤治療等、身体の負担がかかり自己の再生能力の後押しが期待にしくいなど種々の悪条件を今後越えて行かねばならないと思います。

Q

温熱療法の効果について

温熱療法の効果について

A

ゾメタやランマーク、放射線治療は効果が判明しており確立した標準治療となっています。ラジオ波、集束超音波治療(FUS)、ハイパーサーミアなどの各種温熱療法はこれら標準治療で対処困難な場合に試みる価値があります。標準治療でも難しい場合でも次の手がいくつかあることは心強いことと考えておき、まずは実績と効果の安定した標準治療を受けることから始められることをお勧めします。

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Q&A

コメント

Q

副作用の説明を受けたときの心構えについて

副作用の説明を受けたときの心構えについて

A

ご承知の通り医療行為には副作用はつきものです。想定されるリスクとその発生頻度はおよそ医学上判明しており、そのデメリットを考慮しても、それを上回る治療上のメリットがあるからこそ、治療が成立していることを心にとどめましょう。治療効果よりも重大な副作用が次々生じてしまうような治療は、さすがに今日の医療では存続できません。また医師は副作用について十分な説明の義務を負いますので、詳しく話されるほど聞かされる側の不安は増幅するというジレンマがあります。「副」作用をおそれて「主」たる治療効果を享受できないとなれば、文字通り本末転倒になってしまいます。副作用の話は、可能性の話を聞いたのだと考えるようにするのが大切です。
例外的なのは、人類が使い始めて間もない新しい薬や技術を導入した場合です。先進技術には人類が未経験のリスクが潜んでいる懸念があり、導入に当たってはいくつもの厳しい審査を受け、また有害事象(いわゆる副作用)のチェックも大変厳しく行われています。
すなわち、通常私たちが保険診療の範囲内で受けている治療は、これら新薬や新技術の際とは異なり、安全性は随分確立されたものだとご理解頂けると思います。
また治療実績が多い施設では、仮に副作用が生じた場合にもその副作用への対処経験も相当数積んでいることが考えられます。一通り副作用の説明を聞いたら、今乗り切らねばならない当面の治療目標に気持ちを切り替えることが重要です。

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Q&A

その他

Q

骨盤への転移なのですが、放射線治療の副作用など、リスクを教えて下さい。

骨盤への転移なのですが、放射線治療の副作用など、リスクを教えて下さい。

A

骨盤はとても大きな骨で、どの箇所への骨転移かによって副作用の出方も異なってきます。ここでの回答よりも、担当医との直接のコミュニケーションを大切になさって下さい。
一般的には、股関節に近い場合は、大腿骨頭壊死が、腹部に近い場合は腸穿孔など腸管の合併症が生じる「可能性」があります。骨盤の広範囲に照射すると、不全骨折とよばれる特殊な骨折も起こる「可能性」があります。このような副作用の説明は、一般に患者さんに不安を抱かせる性質の内容となります。では、それはどんなものなのか、対処法は、完全に治るのか等々、また新たな不安や疑問が生じてくることになり、説明はどんどん膨らむのが通常で、どんなに言葉を尽くしてもイメージが湧かず、結果的に不安が解消されるどころか逆に高まるばかりとなることがあります。
これらの心配がないよう、放射線治療医が慎重に照射範囲や線量、分割回数などを決定しています。リスクを避け、かつ効果が最大限得られるよう各分野の専門医が活躍しています。

Q

放射線治療は、どのようなタイプの骨転移に効果がありますか?

放射線治療は、どのようなタイプの骨転移に効果がありますか?

A

ほとんど全てのがんにおいて、骨転移に放射線治療は有効です。また骨転移には溶骨型、造骨型、混合型など骨破壊のタイプが分かれますが(がんナビ第6回参照)、効果の違いはないと考えられておりいずれにも有効です。
放射線治療の効果として、がん細胞をやっつけることはもちろん、痛みを和らげる効果があることが古くから知られています。
注意点として、がんの種類によって、その治療効果が長く続くものと、1-2年程度しか持たないものがあります。骨転移を来しやすい肺がん、乳がん、前立腺がん、多発性骨髄腫を含め大部分の癌腫において効果は良好です。一方、効き目の持続時間が比較的短いとされるのが、腎がん、肝細胞がん、甲状腺がん、肉腫などです。治療開始時期はこれらの特性を踏まえて判断されています。
がんナビの第9回、およびがんナビレポート「骨転移に対する放射線治療は進歩してきています」も参照下さい。

Q

毎年検診を受けていたが、乳がんをとことん見落とされていた。手術後転院したが、転院先の病院も、前の病院の病理結果を見るだけ。触診も見ることすらなし。骨シンチもMRIもいまだになし。転移についても「見つかったら対処すればいい」ばかりで、早期発見や転移についても何も知る手段がありません。何を信用して何に気を付ければいいのでしょうか。

毎年検診を受けていたが、乳がんをとことん見落とされていた。手術後転院したが、転院先の病院も、前の病院の病理結果を見るだけ。触診も見ることすらなし。骨シンチもMRIもいまだになし。転移についても「見つかったら対処すればいい」ばかりで、早期発見や転移についても何も知る手段がありません。何を信用して何に気を付ければいいのでしょうか。

A

このような診療にありがちな場面でのアドバイスについては、一般向けの骨転移解説書「骨転移リテラシー」で触れられています。誰かと一緒に受診する、看護師さんに相談してみる、医療相談室的な部署が病院に開設されていれば相談してみる、セカンドオピニオンを求めてみるなどが考えられます。骨転移の問題に限らず、主治医との関係性は難しい場合がたしかにあるのだと思われます。

Q

担当医と何となく話がしにくいのですが。

担当医と何となく話がしにくいのですが。

A

誰かに診察についてきてもらうこともお勧めの方法です。第3者の方が聞きやすいこともあり、自分が誤解している場合も気づいてもらえたり、気になっていることをあらかじめ話し合ってから診察に行くと、聞き漏らしが少なくなると思います。1人より2人、3人。誰かと一緒なら、随分心強いものです。

Q

転んで左小指のつけ根部分を骨折、レントゲンを撮った時、偶然その部分に腫瘍があることが分かりました。骨折は治りましたが、腫瘍は「特に悪性でもないような気がする」とのことで、今後半年ごと、レントゲンで経過観察、という処置ですが、がんの骨転移とは全く関係ないのでしょうか?

転んで左小指のつけ根部分を骨折、レントゲンを撮った時、偶然その部分に腫瘍があることが分かりました。骨折は治りましたが、腫瘍は「特に悪性でもないような気がする」とのことで、今後半年ごと、レントゲンで経過観察、という処置ですが、がんの骨転移とは全く関係ないのでしょうか?

A

整形外科の中で腫瘍を専門領域にしている医師は全国に数百人しかいません。実はこの指の骨腫瘍とがん骨転移の見分けの一例に限らず、骨転移か否かの画像診断は専門医でも難しいことがあります。慎重に経過を見るなど適切な対処が必要となる場面です。がん診療連携拠点病院に指定されている病院でも腫瘍整形外科医が配置されているのはまだごく少数で、このような情報も一般には十分知られていないのが実情となっています。なお指先への乳癌骨転移はきわめて稀です。

Q

骨転移の不安を感じた時、最初に受診するのは腫瘍専門医のいる整形外科でしょうか。それともがん治療を担当する主治医でしょうか。

骨転移の不安を感じた時、最初に受診するのは腫瘍専門医のいる整形外科でしょうか。それともがん治療を担当する主治医でしょうか。

A

まず主治医の先生に相談なさって下さい。最初のうちは画像で判断がつきにくい場合もあるかもしれません。継続してかかっておくことや、痛みが続いていたり悪化している場合は、臆することなく伝えること、そして「骨転移大丈夫でしょうか?」と骨転移のことを心配していることも伝えて説明を求めましょう。

Q

右足にしびれを感じ、3~4か月たっても改善されないため、近所の整形外科にゆきました、がん治療中であることを何度も説明したにもかかわらず、骨転移を調べてもらえませんでした。

右足にしびれを感じ、3~4か月たっても改善されないため、近所の整形外科にゆきました、がん治療中であることを何度も説明したにもかかわらず、骨転移を調べてもらえませんでした。

A

骨転移への認識が十分でない医師もいることは確かです。近医が非常に役立つ方もおられるので、ご質問のケースが一般的とまでは拡大解釈されませんように願いたいところです。ただ、この問題は、別の医院に行ってみる、早めに主治医の病院へ受診するように予約変更するなどで、当面対処するしかありませんが、骨転移が今後増えてくる時代で社会的に認知されるよう求めていく必要を感じるところです。このようなケースを改善するには個別の対策を講じつつも、抜本的な対策を考えていく必要があります。Walk Togetherに皆さんからのご協力とご支援が必要です。

Q

年数がたっているので、どこの病院に行っていいのかわからない。

年数がたっているので、どこの病院に行っていいのかわからない。

A

骨転移を心配するような痛みがあるのならお近くの整形外科へ。「〇年前に〇〇がんの治療を受けたことがあり最近××が痛みます。骨転移のことも心配で来ました。」などがんの治療歴があること、骨転移というキーワードを出すことが現状では大切です。治療を受けた病院が近所なら、再診して相談することもよい選択肢でしょう。

Q

ホルモン治療開始から5年目に入っていますが、右肩痛、左手首関節痛が起きています。薬による副作用なのか、近所の町の整形外科医に行って,X線で見てもらったのですが、痛みの原因はよく判りませんでした。

ホルモン治療開始から5年目に入っていますが、右肩痛、左手首関節痛が起きています。薬による副作用なのか、近所の町の整形外科医に行って,X線で見てもらったのですが、痛みの原因はよく判りませんでした。

A

少なくとも「これぞ原因!」と言えるほどの所見はなかったと思われます。骨転移はまずは骨折や麻痺のリスクとなるような危険な病変を、お近くの先生では判断してもらえればまずは十分です。痛みが増強してきているなら主治医の診察予約を早めて、相談に行くのが先決です。

Q

乳がん未再発で8年目です。まだまだ骨転移の不安は大きいです。東京在住ですが、おすすめの病院やドクターを教えて下さい。

乳がん未再発で8年目です。まだまだ骨転移の不安は大きいです。東京在住ですが、おすすめの病院やドクターを教えて下さい。

A

現状では、全てのがん患者さんをカバーできるほど、腫瘍整形外科医は育成されていません。まず主治医の先生との相談を優先して下さい。骨転移の重要なデータの多くは乳がんから得られており、乳がん専門医は骨転移に非常に詳しいとお考え下さい。
骨折や麻痺の危険があると診断された場合や、治療方針についてより詳しい説明を求めたい場合などに、腫瘍整形外科医を受診してみる場面が考えられます。ただ体一つで受診しても結局ご期待に沿えるような的確な、説明や回答をすることができません。必ず、主治医の先生とよくご相談の上、紹介状とこれまでの画像検査の結果などを持って受診手続する必要があります。
専門医のいる医療機関の情報も一覧として公開されている情報源がないのが現状です。Walk Togetherの今後の活動にご協力をお願い致します。

Q

首都圏で信頼できる腫瘍整形外科医のいる病院を教えて下さい。

首都圏で信頼できる腫瘍整形外科医のいる病院を教えて下さい。

A

腫瘍整形外科医の配置に関する詳しい情報は公開されていません。骨転移は生涯に2人に1人が経験するがんと、切っても切り離せない問題であり、それでいて腫瘍整形外科医は全国に数百人しかいないのが現状となっています。もし受診の際にも、主治医の先生とよく相談の上、診療情報提供書を必ず作成してもらっての受診が最低限必要となります。「これでは困る!」の声を上げて頂く方が、誰しも安心して生活できることにつながります。

Q

左足にビリビリした痛みがあり歩くと増強します。すぐに病院へ行くべきでしょうか。

左足にビリビリした痛みがあり歩くと増強します。すぐに病院へ行くべきでしょうか。

A

日本は国民皆保険を維持し、希望する整形外科へ直接診察に行ける医療サービスの進んだ国です。欧米などでは整形外科を受診しようにも、まず家庭医にかかって必要性があるかの診断を受けなければならない国があります。
からだの不調があるときに、便利な日本の医療サービスを利用しない手はありません。がんを診てもらっている主治医の診察予約が随分先なら、当面の緊急事態が生じていないかはお近くの整形外科医院で構いません。
がんの治療中であることや、骨転移の心配をしていることは伝えて下さい。意外に、骨転移以外の痛みだった、ってことも多いと思います。

Q

総合病院の整形外科なら、たいていは、正しい対処ができると考えて大丈夫なのでしょうか?

総合病院の整形外科なら、たいていは、正しい対処ができると考えて大丈夫なのでしょうか?

A

整形外科だけでもスタッフが4-5名いるとなると、熟練の整形外科専門医がいて、これまでも骨転移患者さんに対処してきました。次の世代の教育も行ない、難症例では高次医療機関との相談も行っているのが通常ですので、ほとんどの場合は対処可能と思われます。

Q

ふらつき、歩きにくくて近くの総合病院に行く場合、整形外科を受診するのでいいですか?

ふらつき、歩きにくくて近くの総合病院に行く場合、整形外科を受診するのでいいですか?

A

その通りです。総合病院の場合、受診すべき診療科が分からなければ、窓口で尋ねれば指示してくれる場合も多いですから、気軽に相談してみましょう。

Q

十分な説明が得られないと感じられるとき

十分な説明が得られないと感じられるとき

A

Walk Together運動は、骨転移診療の体制が十分なのだろうかと皆さんに感じてもらうのがスタート地点と考えています。担当医はそれぞれの専門領域ではエキスパートでも分野外には必ず不得手な領域があるものです。それだけ医学が進歩し、細分化が進んだ恩恵を享受する一方、弊害も見えるということなのでしょう。
このような中で、未来志向のよりよい骨転移診療体制を推進するのがWalk Together活動です。その場で病院や担当医を責めたとしても真の改善にはつながりません。同じ経験をお持ちの皆さんが声を集めることが、しくみを変える原動力となります。この活動に、何卒ご賛同ご協力賜りますようお願い申し上げます。

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